“誰もが知る”と前置きしても過言でないほど有名なラグジュアリーブランド、セリーヌ。
近年ではかごバッグ「パニエ」が爆発的にヒットし、お若い方には「セリーヌ=バスケット」というイメージが付いているかもしれませんね。
▽クラシック パニエ/celine
セリーヌには、フィービー期と呼ばれる、クリエイティブディレクターフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が手がけた時代が存在します。
10年間のフィービー期には名作が多いとして、当時の製品には熱狂的なファンが多いのです。
※待望のフィービー自身のブランド “PHOEBE PHILO”については 「フィービーの新ブランド登場!?」 へ
そんなフィービー期のセリーヌについて、代表的なアイテムと併せて紹介していきます。
CELINE(セリーヌ)とは
セリーヌ(CELINE)は、1945年にフランスの実業家セリーヌ・ヴィピアナ氏が夫とともに創業した子供革靴専門店が発祥。セレブの人気を得、その後は婦人靴・香水・スカーフ・ハンドバッグ…と商品展開を拡大していきました。
馬車・馬具をモチーフとしたバッグ「サルキー」やモカシンがヒットした1960年代には人気ブランドに上り詰めましたが、その勢いは徐々に衰え、1987年には投資会社フィナンシエール・アガッシュ(ベルナール・アルノー氏が率い、当時はクリスチャン ディオールを保有/現LVMH)に買収されました。ここから経営や組織改革を経て、セリーヌは現在の確固たる地位を築いていきます。
あのラゲージの仕掛け人!フィービー・ファイロとは?
フィービー・ファイロは2008年から(コレクションは2010年春夏~2018年春夏まで)、セリーヌのクリエイティブディレクターとして10年間活躍しました。
フィービーはイギリス出身のデザイナーで、セリーヌの前には Chloe(クロエ) のクリエイティブディレクターを務めています。
クロエに入社したのは1997年。当時クロエのクリエイティブディレクターを務めていたのはステラマッカートニーです。彼女の右腕としてキャリアを積み、ステラが独立した2001年にフィービーが後を継ぎました。この時、若干24歳!まだほぼ無名だったフィービーがみせた2002年春夏コレクションは、女性らしさと抜け感を絶妙なバランスで表現した、デザイナーとしての彼女のセンスと実力を世界へと刻み付けるデビューコレクションとなりました。
その後、名作バッグ「パディントン」を世に送り出すなど、フィービーは世界中の女性から注目される存在となっていきました。
▽クロエ2002春夏コレクションより/vogu
クロエをトップブランドへと押し上げたフィービーでしたが、2004年長女の出産時には産休・育休を取得。復帰後は2シーズンのコレクションを手がけましたが、子育てに専念したいと2006年春夏コレクションを最後にクロエのクリエイティブディレクターを退任しました。
ちなみに、その後セリーヌにて生まれた「クロンビーコート」はお腹の大きい妊婦さんが着ても違和感のないデザインにこだわったとのことで、女性のためのファッションを大事にする姿勢は、フィービーが持ち続けている信念であることがわかります。
子どもとの時間をゆっくりと楽しみ、セリーヌで新たにデザイナーとして歩み始めたフィービー。
セリーヌ時代には彼女自身も20代から30代へ、女性として母として成長を遂げ、スタイルはミニマルに進化。モダンなニュアンス、ピロークラッチバッグ、マスキュリンパンツ、リュクスなスニーカー……様々なエッセンスを巧みに取り入れてセリーヌは爆発的な人気のトップブランドへ。デザイナーであるフィービー自身に憧れる女性が世界中に溢れるようになりました。
▽2012春夏コレクションショーのフィナーレ、アディダスのスタンスミスで登場したフィービー/ラゲージを愛用するミランダ・カー/ell
今でもアイコンとして高い人気を誇るハンドバッグ「ラゲージ」をはじめ、「バレリーナ」、“肩に羽織る”を定番化させた「クロンビーコート」、「チャンキーニット」など数多くの名品を発表。
トレンドを作るよりも女性のワードローブを大事にしたいというフィービーの想いにより、ミニマルで洗練されたデザインのものが多かったことも、年数を経ても今なお愛される理由の一つではないでしょうか。
2018年春夏コレクションを最後にフィービーがセリーヌを去った時には“フィービーロス”現象が巻き起こり、そのファッション界への影響は計り知れないものがありました。
▽バレリーナ/チャンキーニット/クロンビーコート
「オールドセリーヌ」フィービー期の名作を詳しく解説!
先にも言及したようにフィービー時代のセリーヌは一部カルト的な人気で「オールドセリーヌ」と呼ばれ、Instagramでは「#oldceline」というハッシュタグで15万件以上が投稿されています。
そんなフィービー期の名作をいくつかご紹介します。
ラゲージ
2010年爆発的にヒットしててから現在まで愛される“セリーヌといえばラゲージ”なアイコンバッグ。
セレーナ・ウィリアムズやTHE ROW(ザ・ロウ)のオルセン姉妹など海外セレブからも人気を誇り、今も変わらぬ It Bag(旬な人気バッグ)!
エフォートレスな魅力はもちろん、正面から見ると顔のように見えるユニークなデザインも可愛らしいですよね。
サイズ展開はナノ(ショルダー使いOK/20×20×10cm)・マイクロ(26×26×14cm)・ミニ(30×30×17cm)・ファントム(30×30×25cm)の順で大きくなり、A4サイズが収納できるミニは仕事用としても重宝し、ファントムはミニのマチを広くしたサイズなので、1~2泊程度の旅行や子供の荷物が多い方にも人気です。
トリオ
同じ大きさの3つのポーチがスナップボタンによりくっついた他にはない斬新なデザインが話題を呼んだショルダータイプのバッグ「トリオ」。
荷物の量やシーンに合わせてポーチを付け外しできるため、例えばカフェの席に荷物を置いて、貴重品の入ったポーチだけを取り外して持ち運ぶとか、旅行先の荷物によってバッグインバッグに使うとか、使い方は∞です!
上質なカーフスキンとラムスキンを用いて作られた、きめ細かく柔らかな質感と長時間肩にかけていても負担になりにくい軽さが特徴で、装飾のないミニマルなデザインはまさにフィービー期を代表するバッグの一つ。残念ながら現在は商品ラインナップにはなく、廃盤になっていると思われます。
▽スタイリスト福田麻琴さんの私物/mi-mollet
クロンビーコート
2010年秋冬コレクションで発表されたクロンビーコートは、フィービー期のセリーヌを代表する不朽の名作として名高い逸品です。
別名エッグクロンビーと呼ばれ、フロントボタンの無い、緩やかな曲線を描くコクーン型のチェスターコートで、美しいシルエットがどんなコーディネートも上品に仕上げてくれます。肩掛けスタイルでハンサムに羽織るのも、定番の使い方に。
フィービー自身も愛用しており、毎シーズン様々な色や素材のクロンビーコートが発表されてきました。
洗練されたデザインはトレンドに左右されず、特にカシミヤダブルフェイスのエッグクロンビーは憧れの一生ものコートとして人気です。
▽クロンビーコート/7YORKUONLINE
クラシック
無駄な装飾を一切削ぎ落とした美しいフォルムがスタイリッシュなクラシックボックスが発表されたのは2011年。
名前の通り箱型のクラシカルなデザインは発表当初から人気で、アンジェリーナ・ジョリーなどハリウッドスターも愛用していました。また、ボックスカーフで作られたこのバッグは使い込むほどにしっくりと手になじみ、“革を育てる”楽しみもあります。
現在はクラシック ミディアム(24×18×7cm)と一回り小さなティーン クラシック バッグ(18.5×15.5×6cm)が展開されていますが、2021年から誕生したトリンオフシリーズのクラシックが新たなアイコンバッグとして定着するかもしれません。シンプルなメタルクロージャ―のクラシックが廃盤になる可能性もありますので、欲しい方はぜひお早めに……。
▽クラシック ミディアムとクラシック トリオンフバッグ/celine
余談ですが、ファッション業界を舞台にした、アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロ主演の映画「マイ・インターン」では、主人公ジュールス(アン・ハサウェイ)のオフィススタイル用のバッグとしてクラシックボックスが登場しました。
「セックス・アンド・ザ・シティ2」のスタッフが衣装を担当したことも話題になりましたが、セリーヌのほかディオールやロジェヴィヴィエのパンプスやヴァレクストラのバッグなど沢山のハイブランドアイテムを見つけることができますので、ファッション感度の高い方にはそんなところも楽しめる映画だったのではないでしょうか。映画はワーナー・ブラザースより2015年10月公開。
どこで見分ける?フィービー期ロゴの違いとは
フィービー期のセリーヌはブランドロゴの表記にも違いがあります。
現在のセリーヌのロゴは「CELINE」ですが、フィービー期のロゴは「CÉLINE」とEの上にアクセント記号がついているのが一つの目安です。
オールドセリーヌをお探しの際には、バッグの刻印や洋服のタグ部分に注目してみてくださいね。
▽スカートのブランドタグ/7YORKUONLINE
フィービー期のセリーヌの魅力とは?
数々の名作を生み出してきたフィービーですが、フィービー期を象徴するキーワードはエフォートレス・ミニマル・マスキュリンかな、と思っています。
クオリティが高く、シンプルなデザインでありながら抜け感の表現が抜群に上手く、ちょっとユニークなエッセンスを加えたり。ミニマルな造形美はタイムレスな魅力となり、凛とした強さのある美しい女性へのリアルな憧れがそこにあるのです。
“定番のアイテムは質が高く使いやすいものだけでいい”という現代のミニマリスト的思考にもハマるので、今なおファンが多いことも頷けます。
フィービーの新ブランド登場!?
数々の名作を世に送り出し伝説となったフィービーですが、2018年にセリーヌを去った後は表舞台に現れることはありませんでした。彼女自身、もともとメディア露出の少ないタイプのデザイナーだったので、当然と言えば当然ですが……。
ところが!2023年2月9日、唐突に「phoebephilo」のInstagramが出現し、ブランドのローンチを告げました。2023年の9月にLVMHと手を組み、自らの名前を冠した新たなブランド「PHOEBE PHILO」をスタートさせるというのです。そのあと2日ほどで投稿自体が削除されてしまったので、もう見ることはできませんが、フィービーのカムバックを報じたこのニュースでファッション界に激震がはしったのは言うまでもありません。
デビューコレクションはオンラインで発表されるとのことですが、2023年7月に公式サイトの登録ページが公開される予定です。
今のところ投稿のない、公式マークのついた17万人のフォロワーをもつInstagramアカウントをセリーヌファンのみならず全世界のファッショニスタが注目していることでしょう。
※2023年12月1日現在 フォロワーは39万人、ですが相変わらずプロフィールグリッドは空っぽです。
▽Instagramアカウント/phoebephilo
2月のアカウント立ち上げから沈黙を守ってきた「PHOEBE PHILO」。
7月には公式サイトでの会員登録が始まりました。サイト内のフォームに名前とメールアドレスを入力し、登録。ブランドの新情報などが配信されるとのことです。9月にオンラインストアがオープンし、ファーストコレクションお披露目の見込みです。
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PHOEBE PHILO
ソワソワしながら新情報を待つも…焦らしますね~(笑) 結果として9月の予定からは少し遅れて、ファーストコレクションの発売は10月30日に決まりました!
新情報は会員登録済みのメールアドレスにフラッシュカットのティザー動画とともに送られてきましたよ。
ファーストコレクションのLOOK、フィービーイズム全開です…!パンツのシルエットやトップにボリュームを持たせたニット、カーブのきれいなスクエアトゥのパンプス、ん?なんかトリオを彷彿とさせるバッグも!テンションがあがったファンも多いはず。
「PHOEBE PHILO」は、まさにクワイエットラグジュアリーのお手本かのよう。価格帯も…なかなかのラグジュアリーっぷり。シアリングのコートは日本円で220万、ビッグサイズのレザートートは110万超えのお値段。それでもオンラインストアオープンと同時に売り切れ多数なんだから、本当に待ち望んでいたセレブが、多くいたことがわかりますね。
残念ながら、現在の配送エリアはイギリス・ヨーロッパ・アメリカのみで、日本への配送には未対応です…が、きっと間もなく日本にも到達する、と信じています!
「PHOEBE PHILO」は、通常のシーズン毎に発表されるコレクションスタイルではなく、A1(ファーストコレクションから三段階に12月まで)、A2(2024年春に発表予定か)、A3と続き、これをEdits(エディッツ)と呼んでいるようです。
この仕組みは、シーズンを超越した一生もののアイテム創るフィービーの意志なのでしょう。
11月28日にはA1の第2弾(便宜上セカンドコレクションといわれるアイテム)の販売がスタートし、ますます盛り上がってまいりましたね。
今後、さらに大きく展開し、「PHOEBE PHILO」のアイテムを手に入れられる人が増えていくのかと期待が高まりましたが……公式サイトIMPACTには「無駄を最小限に抑え、過剰生産を回避に取り組んでいく。そのため予想される需要を著しく下回る生産になる」の文字。
これは……フィービーのカルト的人気は続きそうです。
まとめ
“女性らしくありつつも自立しているアクティブな女性”というコンセプトが世の中や時代の流れにマッチングし、時を超えて愛され続けるセリーヌ フィービー期の作品達。今までも、そしてこれからも女性を輝かせてくれる大事な存在です。
多くの女性を惹きつけるフィービー期のセリーヌの世界に興味を持たれた方は新古品や中古品を探してみてはいかがでしょうか?また、人気のクロンビーコートやチャンキーニット、バッグ類などは買取評価が高くなっていますので、眠らせている方は買取査定を試してみるのもいいかもしれません。
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また、新たにスタートした新ブランド「PHOEBE PHILO」は、女性はもちろん、そのミニマルな魅力で男性ファンも多いデザイナー・フィービーが手がける新しいブランド。全世界、絶賛大注目です!!
LEONARDが、東京・表参道にフラッグシップストア「レオナール表参道店」をオープン