Mame kurogouchiの製品には日本の繊維業界の伝統的なものづくりの技術が多く使われています。
ニッティングや織りの技術、板染めや絞りなど染色の段階での技法、二次加工の刺繍やプリーツ、ガラスにまで及びます。
海外依存で国内生産が10%を切るまでに衰退してしまっている日本国内の服飾産業。高い技術がありながら継承が叶わなくなると危惧されているものも、マメのフィルターを通して新たな表現で魅力を生み出し世界へ発信していることに敬意を感じます。
デザイナーのインスピレーションを具現化する際に使われる伝統的な手法。それを探り出し伝統に新たな挑戦を求め、それに応えるプロの技。
マメの服は誰にでも似合うものではないかもしれない。けれども見ていて心が満たされるような感覚になります。マメのInstagramやWEBサイトで紹介されているモノつくりの現場、工場のワンシーンや生地を作り出す様子を垣間見ると、手にする1枚1枚がその技術を通してデザイナーが表現したかったことを代弁していることが更に強く感じられます。
さまざまな中でマメの魅力を語るうえで欠くことのできない技法のひとつ「コード刺繍」を今回はコレクションから見てみたいと思います。
コード刺繍とはどんなもの?
正しくはコーディングエンブロイダリー(cording embroidery)と呼ばれます。
確かにマメの商品名にはこの正式な名称が使われています。
コード刺繍とは
紐やテープをステッチで布地に縫い付けるものです。
コード刺繍は、刺繍の技法の一つで、縫い目に細いコードを使って、立体的で華やかなデザインを表現する手法です。コード刺繍には、金属糸やシルク糸などの細い糸を使用し、布地に刺繍針で縫い付けることで、立体感のある凹凸やボリューム感を表現します。糸の太さや色、縫い方によって、様々な表現が可能で、豪華で華やかなデザインに向いています。
引用:20 FALL WINTER / THE STORY – Mame Kurogouchi
コード刺繍は、主に装飾用途で使用されますが、衣服やアクセサリー、ホームテキスタイルなど、様々なものに使用されることがあります。また、最近では、コード刺繍の技法を用いたアート作品も注目を集めています。コード刺繍は、手間暇がかかるため、時間がかかる手法ですが、美しいデザインや豪華な表現が可能です。元来は手ハンドルという単頭機の環縫い用のミシンで職人が1枚1枚仕上げていた加工で、それが多頭化及び自動化され発展したものが現在のコード刺繍機となり本縫いが主流です。
この自動化によってコード刺繍はデザイン性や生産性が大幅に向上しましたが、手ハンドルによるコード刺繍も職人の技として今も根強い人気があります。風合いと立体感ではジャガード刺繍を凌ぐ表現力があり、素材と縫い方の組み合わせによって無数にデザインのバリエーションが広がります。引用:香川県 タナベ刺繍
Mame Kurogouchi 襟、ポケットの装飾にコード刺繍を用いたブルゾン。
10 Mame Kurogouchi 展で見た圧巻のコード刺繍
2021年6月19日(土)~ 2021年8月15日(日)長野美術館で開催された 10 Mame Kurogouchi
の際に これまでのコレクションを代表するアーカイブディスプレイの写真
10年の軌跡 圧巻でした。
そのコレクションを代表するものでしたがそのなかでも私を引き付けたのは
コード刺繍で作られたアウター
大胆さや力強さと対極にあるはずの繊細さや優しさを併せて感じる不思議な存在感でした。
このアウターは2020年AWのコレクションです。
2020AWコレクションにおける作品
今回のコレクションの創作過程の初期、黒河内はヨーロッパからの帰り道に、
島国アイスランドに立ち寄った。自分が、地球という惑星に生まれ、
生きているのだということを教えてくれる風景に包まれ、体いっぱいに感じているときに、
事故が起きて、アイスランドの地面に投げ出された。大事に至らなかったのは、
投げ出されたところが、ふかふかと柔らかい土のうえに広がる羽毛布団のような草地だったからだ。
細く長い雑草が、露に濡れて光る姿には、生命の強さが宿っていた。
この美しい地球の生命力に守られているーー 長く伸びた草に包みこまれたこの体験を、
形にしたい、とデザインを始めた。作りたかったのは、輝きのある繊細な編みを身にまとうような服だった。
人間が身につけることができる、柔らかいけどハリのある紐状の素材を、刺繍することでつなぎ合わせれば、
花や植物のモチーフを表現しながら籠のような服を作れるのではないかと考えた。
靴紐の工場に依頼して、光沢もハリもありながら肌に触れても柔らかいリネンの糸を紐状にし、
籠を編むように複雑な軌跡を描きながら刺繍を施した。小さいパーツから試作を始め、
植物が籠を編むように自分の体を覆う様を想像しながら、トワルに一筆書きの要領で直接絵を描き、
それをデザインに起こした。用途によって姿を変えることのできる籠のプリミティブでありながら
柔軟な姿にインスピレーションを受けて、アイテムごとに姿を変える、籠でできた服をデザインした。
2020年の年間テーマは「包む」
2020SSコレクションでは蚕を包み込む繭、農作物をカラスから守るネット、漁師が使う網やフリンジを施したシアー素材で身体を包むという表現でした。そこから更に進化を遂げた2020AWは、ものを受けとめたり、囲う、包む……かご(籠)から発想されたものでした。その籠を表現する手法として「コード刺繍」が使われました。
引用元:fashionpress
この時の素材は上記にあるように靴紐工場に依頼したもの。確かにスニーカーの紐のようなものをつぶして上から一筆書きの要領でステッチをかけています。
コード: リネン 89% ナイロン 11% 刺繍糸: キュプラ 100%でした。
2022AWは土器の文様として表現
2022年の年間テーマは「Land」
デザイナーの故郷である長野を深く掘り下げ、縄文時代中期にその地に発達した生活圏があり発掘される言葉なき縄文の図像からどういった生活、行動、意識、までに考えを巡らし、土器に描かれた複雑な立体文様をコード刺繍で表現している。
(左)MM22FW-AC038
Cord Embroidery Wrapped Skirt – black
価格 ¥96,800
(中央) MM22FW-DR034
Cord Embroidery Dress – green
価格 ¥368,500
土器文様の複雑な柄にインスパイアされ、デザイナー自身の記憶を司るモチーフを苔のようなテクスチャーのコードで表現したコード刺繍ドレス。身体全体を苔が覆うような膨大な分量の刺繍は、一筆書きの要領で柄を組みながら刺繍し、1パーツごとに縫製される。樹木や岩肌を覆う苔を立体的でユニークな縫製で仕立てることで、大胆なデザインと繊細なクラフトが同居する、今シーズンを象徴する印象的なピースに。
引用:https://www.mamekurogouchi.com/
(右)MM22FW-SH037
Cord Embroidery Vest – green
価格 ¥71,500
2022年AWは苔をイメージした手芸材料のモールのような毛羽毛羽した素材のコードを縫い付けています。コードの素材はナイロン 38% キュプラ 31% ポリエステル 31% 刺繍糸: キュプラ 100%。
2023SSコレクションは竹籠を表現
2023のテーマは「Bamboo Groove」
竹工芸作家の飯塚琅玕斎(いいづかろうかんさい)の作品の美しさに共鳴してつくられたドレスに
更に発展したかたちのコード刺繍が使われているという。
引用元:fashionpress
まるで竹細工のよう。脚部分の繊細な竹細工の編み、曲線と束編み部分はニットワークにも見えなくないのですが、より緻密なコード刺繍が施されているという。
飯塚琅玕斎 「作品名透し手付き花籃」
引用元:灯屋 (akariya.co.jp)
Cording Embroidery バッグでの展開
2020年のコレクションに発表されたコード刺繍のバッグはとても好評で、特にバックパックは画像でしか見ることができないものでしたが、継続して作られるようになり、2年経過して現在ようやく店頭で見ることができるようになっています。品番もコレクションを示す表記(MM20AWの20AW)がなくなりました。PVCバッグと並ぶマメを象徴するアイテムになる気配がします。
現在は下記の4型ブラック、ベージュの2色で展開
お値段は定番化になって5%程度値上がりしています。
MM-AC404
Cording Embroidery Demi Lune Handbag – beige
価格 ¥86,900
オリジナルのリネンコードを一筆書きの要領で柄を組みながら刺繍していくことで、
日本の伝統的な籠モチーフや植物からインスパイアされた複雑な編み模様を表現。持ち手とショルダー紐はそれぞれ手編みし、クラシックさと手仕事の温かみを感じるフィニッシュに。ショルダー紐は取り外しも可能。
引用:https://www.mamekurogouchi.com/
MM-AC401
Cording Embroidery Backpack ‐black
価格 ¥193,600
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MM-AC403
Cording Embroidery Tote Bag – beige
価格 ¥62,700
MM-AC402
Cording Embroidery Pouch With Leather Strap – black
価格 ¥42,900
マメのアイコンとなっているコード刺繍。これからどのようなかたちで表現されていくのかマメのコレクションを楽しむ際の見どころのひとつといえるでしょう。
Mame Kurogouchi 23PS“復刻ドレス”はどのシーズンのアーカイブ?
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