Mame Kurogouchi初の香水はどんな香り?もうすぐ発売!

(情報更新)2023年10月5日青山店・公式ECにて発売

「目は冷たいのに身体は暖かい」

広がる窓の外の冬景色と暖かな部屋、押し寄せる対極の感覚
黒河内さんにみえた“におい”はどんなものだったんだろう

マメの店舗を手掛けたデザイナー柳原照弘さんの、空間を可視化するフレグランスブランド《LICHEN(ライケン)》との協業で、Mame Kurogouchi初の香水とキャンドルの製作が進んでいる。これらはMame Kurogouchi Basicsでのラインナップで展開予定です。

柳原さんとの別件の打ち合わせ中に決まったという香りづくりのスタート。インスピレーションを求め向かった淡路島でコンセプトを決め、香りのアーティスト和泉侃さんとイメージを固めていくやりとりは「文を交わすような作業だった」といいます。黒河内さんらしい素敵な表現ですよね。

香料の一部で、新たなマメのシグネチャーといえるであろう藤袴(フジバカマ)、ブランド名すら刻まない(底面にロゴあり)墨色の有田焼ボトル……
ほんと、どんなにおいなんだろう…
マメだもんな、すっごくいいにおいだよね〜って思いつつ、でもイメージと違ったらなんかショック…みたいな期待と不安が入り混じってます笑
とっても気になる、楽しみなこの話題を少しずつ調べてお伝えしていきたいと思います…!

出典:Mame Kurogouchi Instagram

<目 次>

  1. マメのフレグランスを想像してみる
    1. マメをイメージする香調は?
  2. ブレンドされるフジバカマ、白檀、沈香、スミレ
    1. フジバカマはどんな花?香りは?
    2. 白檀、沈香(漢薬香料)
    3. スミレの香り
  3. 香りのテーマ「目は冷たいのに身体は暖かい」

マメのフレグランス どんな香りなのか?想像してみる

どんな香りなのだろう?現時点では正解が得られない問いに考えを続けていた。なぜ考えてしまうのか?発売が待ち遠しいので考えてしまう。とは少し違うような。マメの香りを想像しながら、発売された時の答え合わせが更に「少し怖い」…… (笑) なぜ少し怖い? 
デザイナーが表現し発信しているマメクロゴウチと受け取っていた自分のマメクロゴウチに差異があったら……ということ。

差異があったとて、どうなるものでもないのに、なぜかそう思ってしまった。

考えているとにおいという触れたり見えるものでないからこそ、与えるイマジネーションがより大きい。しかしながら、ブランドと端くれ消費者の間には差異があることがあたりまえで、合致することなどあるわけがなく、合致しないかもなどと心配するのは極めておこがましく身の程知らずということはほどなく理解できた。まわりくどい言い方になってしまいましたが、マメをどれくらい正しく理解できていたか?右脳考査のように感じたからでした。

マメをイメージする香調は?

配合される香りの要素がわかれば香りの方向性をなんとなく感じられるのでしょうけれど、先ずあえてその情報がないものとしてイマジネーションでマメクロゴウチの香調を考えてみる。

 湿度の高い蔦の這う木造窓
 靄が霧をつくる湖
 捨てられたビニルの袋
 やさしい姿なのに背筋がピンとするアイリスの花
 アスファルトに落ちたキンモクセイが放つ甘いかおり

そんな光景を思い浮かべていたら シダやモスのグリーンでスモーキーな感じ?だろうか
またそこに加わる副香調はどんなものだろう?
マメのモチーフでお花は外せないものなのに甘いフローラルがどうしても想像できない。かといってシトラスの爽やかさとは絶対に違う。私のマメの引き出しから出せるありったけのものを次々頭に並べて考えていた。

果たしてひとつの香りでマメを表現することなどできるものなのだろうか?

今回キャンドルとフレグランスを発売する。という情報からブランドを表現する香りと勝手に私が思い込んだだけなのかもしれない。マメの香りではなくマメが表現する香りのひとつ。と考えたら気持ちが落ち着いた。(笑)

構成要素はフジバカマ、白檀、沈香、スミレ

雑誌 GINZA 5月号によると
今回の香りは(次回があるかどうかはわからないけれど)ライケンの香りをベースに フジバカマ、白檀、沈香、スミレがブレンドされるとのこと

ライケンの香りというのは 苔や香草、樹液といった自然界の緑にまつわるものから構成されている。
この要素は想像していたもに近いかもしれない。

イメージの骨格が見えてきたかのように思えましたが、わずかな配合の違いで変わってくる匂いですから具体的な香りを想像できるにはまだまだ遠い

白檀、沈香といったインセンスはどのようにアプローチされるのでしょう。単純に京都の老舗お香屋さんを想像したらいけないと思いながら目を閉じると静寂の広い畳の間や遠くに仏像が浮かぶ。もしかしたらMameKurogouchiのinstaguramにあった画像の善光寺というピースにもつながっていくのかもしれない。

2023年4月1日長野市善光寺にて

ご承知の通りマメクロゴウチのDNAは長野と言っても過言ではない。さまざまな景色をはじめ、五感のそれぞれにつながってくる。

2021年マメクロゴウチ展(長野県立美術館)
「10 Mame Kurogouchi」キーワードとともに。

フジバカマ(藤袴)はどんな香り?

今回の香りの鍵となるフジバカマ。 その名前を聞いたとき、なんともマメらしいお花のチョイスと感じたのでした。(まだこの時点ではフジバカマの外見しか知らない)

なんともシブイ

 ↑つぼみだからシブイわけではなく

花が咲いてもシブかった

フジバカマ(Eupatorium japonicum)は、奈良朝時代に中国から渡来し、関東以西の川べりに見られる多年草です。秋の七草の一つで今では野生地が激減して絶滅危惧種に指定されている。

子供の頃には河川敷や林に繁殖する草花と思っていましたが、確かに最近は目にしていないかも……と思いつつ、においを嗅いだ記憶がない。
すぐにお花屋さんの友達にLINEできいてみた。昨今は雑草(失礼)のたぐいの草花も人気で結婚式のブーケやテーブル装飾にもリクエストがあると聞いていた。

 「フジバカマはどんなにおいがする?」
 「においはほとんどないよー」 えっ。 におわない? どういうこと?? 

次の返信で「ドライにすると、葉や茎からにおいがする。万葉の頃には香料として使われていたらしいよ。桜餅のにおいと言われているけど、ちょっと高貴な枯草のにおいかなぁ」ということでした。
検索すると確かに万葉集にも歌われていて、葉を乾燥させてにおい袋として使っていたということです。

フジバカマの別名は「蘭草(らんそう)」。香り高い植物として知られており、昔は匂い袋にも利用されていました。しかし、フジバカマは花の匂いはほとんどしません。実は、香りは葉や茎にあり、葉を潰してみるとややツンとしたセリのような匂いがあります。蕾や花を潰したり、擦ったりしてもセリのような強い匂いを感じることができます。一見ハーブのようなフジバカマですが、本当の香りの魅力は葉や花が萎れてから。乾燥したフジバカマは桜葉の香りを放つようになります。これはクマリンという成分によるもの

株式会社大田花き花の生活研究所

このフジバカマの蜜がないと子孫を残せないアサギマダラという美しい蝶はフジバカマを求めて台湾、南沙諸島から海を渡って日本の本州へやってくるという。
においもしない一見すると素朴な姿と思っていたフジバカマですが「蘭草」という別名だったり、蝶を引き付ける蜜を持っていたり不思議な魅力を持ってることを知りました。ますますにおいをかいでみたくて探してみましたら、京都のお香の老舗松栄堂にお線香とにおい袋がありましたが2022年度分は売り切れ。残念……

つづきはまた 

フジバカマのドライが届きました 
(追記2023年4月18日)

山野草と認識してしまっていたフジバカマ。
マメクロゴウチの香水で使われるということがなかったら一生接点がないままだったかもしれません。今年の晩夏には気に留めて里山で探してみようと思っています。

気になる桜餅臭とやらを嗅いでみたい。その気持ちを抑えられずにいたところ一昨日の友達から荷物が届きました。運送会社さんから受け取った箱はカサカサと音を立てます。箱を開けてみると紙に包まれていて姿は見えないものの、ふわりと漂うものを感じます。「もしや!」「おーーっ シワシワになっていますがフジバカマのようです」

乾燥したフジバカマのにおい

鼻を近づけると強いにおいはしないものの、ほのかに甘く、たしかに桜餅に似たような香りがします。事前に「桜餅のにおい」と聞かされていたからそう感じたのか、花と茎葉の色味もなんだか桜餅みたいだから、余計に近いように思えてくるのかもしれないけれど。甘さと、ほんの少しの草花の青(緑)いにおい。その甘さは、鼻先ではなくてもっと奥の方…いや、奥歯のあたりに感じる柔らかで幽かな香り。
すっごくいいにおい!とは私は思わなかったけど、いやな要素もまったくない。
好きとか嫌いとかじゃなく、ごく自然で、気が付かないだけでずっと近くにあったかもしれない香り。

今のところ、わかったことは「藤袴は本当に桜餅みたいなにおいがする」

松栄堂さんの「藤袴」を香らせてみる 
(追記2023年4月20日)

2022年分が完売になっていた 松栄堂さんのお線香「藤袴」ですが、説明を見ると藤袴の葉を乾燥させて漢薬香料と配合してお香をつくっています。と書いてありました。→ 松栄堂「藤袴」 この配合されている漢薬香料とやらを調べてみると、沈香、白檀のことでまさにこの香りが近しいのではないかと……

何とか分けていただいた貴重な松栄堂さんのお線香の「藤袴」です。火をつける前、お線香そのものを嗅ぐと沈香の香りが強く、ドライフラワーの時の桜餅はみつけられません。マメクロゴウチの香り探りから始まったこの旅は万葉の時、奈良時代を経て今京都を徘徊しています。このお線香に火をつけるとどの時代のどこに着地するのか……

お線香になった藤袴の香りはドライのときの香りとはまた違っていた。火を点した煙を一緒に嗅いだスタッフは「まさに仏事に使うお線香のイメージ」と言ったが私はそうは思えなかった。過去の経験との摺り合わせから今体験していることの表現へ結びついているとしたら、経験が違っているのは当然のことだから受け取るイメージも違ってくるのかもしれない。香りをともす15分ほどの時間に、過去の記憶を精一杯辿ってみたけれど仏事のお線香とは違う何か。それがわからない。私にはこのにおいを表現する経験がないのかもしれないと思った。しかし考えてみると、香りは経験の記憶だけでなく想像もできるはずだ。「日本最西端の診療所待合室のにおい」「マリーアントワネットの寝室のにおい」は経験していなくても、経験してきたものの破片をつなぎあわせることによってこんな匂いではないだろうかと想像することができる。
そうして藤袴の匂いから巻き戻してみた結果、ゆるい日常の曇ったある日に和箪笥から出してきた古いけど上質な青苧の着物 なんだか喉につかえるような映像が浮かんできた。そこにいるのは壇蜜さんのようなひと。

野山に咲いているほぼ無臭(らしい)植物の状態からフジバカマは強い印象ではないもののどことなく怪しげで不思議なものに姿を変えていくのでした。

正直なところ ここまでに脳内で作られた今回のマメの香りは、「え?これは何のかおり?」といぶかしく感じるようなイメージで、少なくともすれ違ったときに後追いしたくなるような香りではない。でももしかしたら、そんなありふれていないところが忘れられなくなるようにも思えています。調合されるもうひとつの花「スミレ」の働きがどのようになるか。期待するところです。

スミレの香りは?

ちょうどスミレの花時期でご近所のお庭で摘ませてにおいを嗅がせていただきました。日本のどこでも見かける日本原種のヒメスミレです。しつこくにおいを探しましたが茎がかすかに匂う程度でした。調べてみると香料に使うスミレはヨーロッパ原産の品種になるようで日本のスミレは匂いがすくないそうです。

香料のスミレの香りは、繊細で優雅な甘さがあり、柔らかく穏やかな香り。淡い紫色の花びらから広がる、やわらかな甘い香りは、緊張を和らげ、リラックスした気持ちにさせます。スミレの香りは、優しさと安らぎをもたらし、心を癒す力があると言われています。

やわらかな甘さ。奥底で感じる程度でいいので居て欲しい。スミレは期待に応えてくれそうです。でも今になってフジバカマのあやしい香りも楽しみに思えてきました。フジバカマの魅力は自覚していない本能を目覚めさせるところにあるのかもしれません。

香りのテーマは Nagano 「目は冷たいのに身体は暖かい」

新潟も雪国ですので、窓越しに吹雪く外を見て「今日も寒そう・・・」という感情になることはよくわかります。温かい家の中にいるのですから冷たい感覚は身体のどこにもないのですが「目は冷たい」と表現されているところが先ず何とも言えずに素敵です。

その情景を匂いにするとどんな匂いになるのでしょう。

黒河内さんと同じ長野県で生まれ育ったファッションライターのかたに このにおいの感覚をどのように解釈するか伺ってみました。 → NAGANOの香りとは?

窓の外の直線的な冷たい景色と対照的に、気温差で結露した窓枠に緩んだ空気の室内。凡庸な私にはどう表現するのか全く思いがつかない上に、その感覚を匂いからマメクロゴウチと共有できるかやはり不安のほうが大きくなっています。

発売日は未定です

発売日を今か今かと待っておりますが、今のところ公式な発表はないようです。マメクロゴウチのニュースレターに第一報が届くのではないかと楽しみにしております。

発売日が決まりました

いよいよ発売になります。
第一報を聞いてから5か月。有田焼のボトルが姿を現しました。
マメクロゴウチ×ライケン の香り
期待以上にスタイリッシュなお姿

オードパルファムは75ml 46,200円

キャンドルは 24,200円

2023年10月5日より 青山の直営店とマメクロゴウチ公式ECサイトで発売になります

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