あなたの“知らない(かもしれない)”ウールのこと。

 

お洋服やファッション小物には欠かせない素材、ウール。
ウールとは羊の毛のことを指しており、セーターや
コート・マフラーなどにもよく使われている私たちにとって、とても身近な素材です。

「温かい素材」という認識は一般に広く知られていると思いますが、実は意外と
“知らないかもしれない”特徴があるんです。
いくつかの性質を併せ持つとっても魅力的な素材、今回はウールに焦点を当てていきます。

 

メリノ

 

ウールとは

冒頭にて、ウールは羊の毛 とご説明いたしました。
世界に3000種類以上存在する羊の中でも、ウールの多くはメリノ種という羊から取れる毛です。
数多の羊毛の中でも、細く柔らかく、それでいて丈夫なので衣料品に最適といえます。

羊毛は、19種類のアミノ酸からからなるたんぱく質で出来ていますが、
これは人の肌や髪の毛と、同じ成分といわれています。
肌なじみの良さを感じるのは、そういった「人との成分の近さ」があるからかもしれませんね。

続いて、ウールの特徴をみていきましょう。

 

ウールの特徴

冬は暖かく、夏は涼しい

冬物に使われるイメージの強いウール素材ですが、
実は、冬は暖かく、夏は涼しいという万能な素材なのです。

万能素材である理由は、たくさんの空気を含むクリンプ。
(クリンプとは、1本1本くるくると縮れた繊維のこと)
たくさんの空気を含んだクリンプが外気温の影響を受けにくくしてくれるため、
高断熱のお家のように、ウール製品は1年中快適に身にまとうことが出来るのです。
さながら、「着るエアコン」といったところでしょうか。

夏向けに作られたサマーウールは、羊毛を細く撚って織られているので
通気性に富んでいて、シャリ感のあるさらっとした手触りになっています。
サマーウールの上品な素材感は、夏場の装いを
きちんとしたイメージに仕上げたい時にもおすすめです。

 

天然の防臭効果

ウールは動物から取れる天然繊維。
もともと羊の体を守る皮膚の一部として、細菌の侵入を防ぐ作用を持っています。

化学繊維で作られた製品は、天然繊維に比べて通気性が悪い場合が多く、
雑菌が繁殖し易くなることがニオイの原因になります。
速乾性のシャツもウールには敵わないということ。

一方、ウールはウイルスやバクテリアなどニオイの元になる菌が繊維の中に留まれず、
繊維の中を清潔に保つことが出来るのです。
つまりは「天然の防臭効果」を持っているわけです。

 

優れた回復力

ウールで作られた衣類の場合、軽いシワはハンガーに吊るしておくだけでも比較的容易に回復します。
これは縮れ(クリンプ)がバネのような弾力性を持っているから。
繊維を引っ張ると約30%も伸びますが、離すと元の長さに戻ります。
このおかげで体にフィットし動きやすく、「シワになりにくく型崩れしにくい」のです。

また、シワが気になるときはお風呂場で蒸気にあてるのもおすすめです。
入浴後、一晩お風呂場にウール製品を吊るしておけば、蒸気がシワを伸ばしてくれます。
その後は風通しのよいところで水分をしっかりと飛ばしましょうね。

 

燃えにくい繊維

動物性の天然繊維であるウールは、「自ら燃えることができない素材」なので、
ウールの端に火を近づけるとジリジリと燃え焦げてはいくのですが…火を離すと自然に鎮火していきます。
先に触れたように、ウールは人に近い成分で出来ています。
そのため繊維の中に窒素や水分を多く含み、難燃性・防炎性が高いのですね。
安心感も大きな魅力です。

 

撥水性と吸湿性

刈り取った毛にラノリンと呼ばれる脂がついているため撥水性があり、
雨や泥など水溶性の汚れがつきにくくなっています。
また、毛の表面が湿気を吸収・放出するので、汗をかいても湿った感じが少なく、
ウール素材の靴下や肌着はとても快適なのですね。

ウールは湿気を吸ったり吐いたりする性質から「呼吸する繊維」といわれています。
一日着たら、一日お休み。着用後はハンガーにかけて、吸い取った湿気を発散させてあげましょう。

 

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ウールマークについて

高い品質基準をクリアしたことを表す品質保証の「ウールマーク」。

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世界約140か国で使われている世界共通のマークです。
一度使われた羊毛をほぐして作り直した再生羊毛は使わずに、
刈りたての新毛を使った製品であることや摩擦への強さや引っ張り強度などが基準になっています。
※ウールマークは新毛の混率によって3つに分けられています。

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実のところ、“ 毛 100% ”の素材表示があってもそれがウールかどうかはわからないのです。
ウール の場合は、羊から取れた毛のこと。
毛 の場合は羊、カシミヤ山羊、アンゴラ山羊、アンゴラ兎、
アルパカ、双こぶラクダ、その他の動物から刈った毛のことを指しています。
つまり「毛 100%≠ウール 100%」。お洋服の商品名などでは、
風合い等をイメージしやすくするためウール100%でない場合にも「ウール」と
記載することがありますが、羊毛(ウール)製品はウールマークのあるなしで見分けることもできます。

 

まとめ

・「人と近い成分でできている」
・「1年中快適な着るエアコン」
・「天然の防臭効果」
・「シワになりにくく型崩れしにくい」
・「難燃性・防炎性が高い」
・「呼吸する繊維」
・「実は、毛 100%≠ウール 100%」

ウールは、あらゆる厳しい環境に適応するために変化を遂げてきた羊と自然からの恵み。
感謝して愛用していきたいですね。

 

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