2022年 LVMHグループとKeringグループ リアルファー・エキゾチックレザーの取扱い対比

ブランドサイトのウィンドーパトロールを日課としておりますが秋から冬にかけてはファー、毛皮が登場する季節。これまでファーの栄華を見てきた者としては毎年の動向が気になります。
年々ファーフリーを宣言するブランドが増え、2022年 今年はハイブランドでファーに出会うことのほうが難儀になってきています。どこのブランドでもファーに見えても商品名に「エコファー」素材表記を見ると「ポリエステル」もしくは動物素材の「シアリング」になっていて、WEB上で見るカタログではリアルファーを掲載しているハイブランドは数えるほど。こんなに一掃されてしまったことにやや驚いているくらいで、もしかしたら顧客様向けに受注販売というアンダーグラウンドで生産されているのかもしれない。と疑惑すら感じてしまうほど。

シアリングって?
羊の毛皮の毛を刈り込んだもの。羊の種類によっては毛をそのまま使うこともありますが、一般的には毛足の長さを揃えています。皮についた毛をそのまま使いますのでファーの一種ですが、食用のラム(羊)の副産物として革と共に使用されていますので革の範疇でもあります。刈り込んだ下毛の密集した部分の長さが揃っているので毛足の長い絨毯のような感じです。
近年目立つ「シアリング」ファーを使わなくなった代替えとしての役割をつとめています。


フランスを本国とするグローバルファッション雑誌のエルELLEもファーフリーを宣言。プリント、デジタル、SNSのすべてにおいて、アニマルファーを扱うコンテンツの廃止を発表。またイギリスの百貨店 セルフリッジSELFRIDGESが2005年からファーの販売を停止しているように、ネットのショッピングモールでもそのような動きが検討されていると聞きます。ファー製品を身につけることがノーから、それを紹介する媒体、販売する場所さえノー!となっていますので作ることが必要とされなくなっている流れです。

先日、イタリアへ旅行するかたが現地コーディネーターに「決して毛皮のコートなど着てこないように」と釘を刺されたとおっしゃっていました。2021年イタリアでは10カ所ほどある毛皮農場の閉鎖を求めることが法案で可決。アメリカでも2023年1月1日からカリフォルニア州内では販売、注文、販売のために展示すること、取引きすべてが禁止されます。

LVMHグループに向けられているキャンペーン

2019年より毛皮反対連盟FFAの世界一斉キャンペーンでターゲットになったPRADAは2020年SSコレクション以降ファーフリーを宣言しました。

ファーを採る為の残酷なシーンを掲載したうえで「プラダは毛皮を使っています。みなさんで廃止するように抗議しましょう!とメールアドレスや電話番号などを列記し、この文章を送りましょう!という文例も用意してキャンペーンを行うので強烈です。

現在FFAが行う世界一斉キャンペーンはルイヴィトンフェンディ、そのコングロマリットであるLVMHグループに向けられています。

アメリカを所在とする世界最大の動物愛護団体PETAも2024年パリオリンピックのスポンサーになるためにはLVMH (モエヘネシールイヴィトングループ)でファーとエキゾチックレザーの使用をやめることを条件とするよう2022年8月 IOCに提言しました。

WEBでブランドパトロールをしていてもファーに対する意識はGUCCIを筆頭とするケリンググループLVMHグループで明らかな違いを感じます。ファーを取り扱うかどうかだけでブランドの人気にどれだけ影響が出るかはわかりませんがブランドの体質が少しうかがえることかもしれません。

グループでファーフリーを宣言したケリング

ケリンググループの筆頭であるGUCCIは2017年早々にファーフリーを宣言し、グループ全体でも2021年9月に来期(2022年)のAWより使用しないことを宣言しました。

いまだにファーを使っているLVMHでは「私たちは動物虐待に賛成しているわけではない、もちろん反対している」
「LVMHが毛皮を販売しなければ、消費者は毛皮を責任を持って生産していない他のブランドに行ってしまうだろう」と毛皮製品を生産する必要性を説明しています。

創業以来ファー製品を得意として確固たる地位を築いたFENDIは26年までに全ての原材料を『責任を持って調達』することを目標としていて「私たちの使命は、毛皮を身に着けることを自由に選択したお客様に、倫理的に高品質の毛皮を供給することであり、全ての人の意見と選択の自由を尊重することに揺るぎない決意を持っている」とサイト上に記しています。

ファーをご希望のかたはLVMH へ

この説明を裏付けるように2022年AWのFENDIを見ると 製品数の少なくなった市場での供給をカバーするかのようにこれまで以上にファー製品が並んでいるかのようにさえ見えます。ファーを否定することはフェンディを否定することと言っても過言でないくらいこれまでのフェンディの評価はファーに占める割合が大きいものです。フェンディの揺るぎない決意。から高いクオリティの製品を求める需要も根強くあることがわかります。

ファーの次はエキゾチックレザー

そうです。動物愛護団体はファーが完了したら次はクロコダイル・アリゲーター・パイソンなどのエキゾチックレザーの流通廃止を求めています。

シャネルがすでにエキゾチックレザーの使用をやめたことから考えられるように、食用となる家畜からの副産物であるレザー以外のものはこの先使用排除の対象になっていくものと思われます。

さらにアニマルウエルフェア(動物福祉)の視点から食用となるまでの飼育環境やストレスの少ない屠畜の方法も意見が交わされています。現在は安全圏にいるカーフレザーや、ムートンも、より拡大した解釈でウールやカシミヤ、ダウンまで火種がないわけではありません。世論に訴え禁止することは簡単でもその先に生活する人、製品を望む人がいる限り水面下での取引や適正な価格が崩壊してしまうことを懸念しています。

需要と供給のバランスで価格が決まる中古の市場ではファーの価格が下がるばかりですがエキゾチックレザー製品はそのような気配はありません。今後商品はタイトになっていくと想像されますが、買いなのかそれとも売りなのか。今後の状況が気になるところです。

2022年現在 各ブランドでのリアルファー・エキゾチックレザー取り扱いを調べてみました (基本的にWEB上で商品として掲載してあるもののみ)ご参考にしていただければ幸いです。

プラダ

(ファッション全般)
2019年ファーフリー宣言済
■ ファー → 使用なし シアリング使用
■ エキゾチックレザー → クロコダイル使用


リバーシブル ギャバジンxシアリング コート ¥1,100,000


プラダ ガレリア クロコダイルレザー ミディアムバッグ ¥5,280,000

シャネル

(ファッション全般)
2018年ファー・エキゾチックレザー廃止宣言済
■ ファー → 使用なし シアリング使用
■ エキゾチックレザー → 使用なし


ウール ツイード & ウール ファー(シアリング) コート ¥1,287,000

LVMH グループ

ロエベ

(ファッション全般)
■ ファー → アニマルファー使用なし シアリングのみ シアリングアイテムは靴からバッグ、ウエアまで多数
■ エキゾチックレザー → 使用なし


フーデッド ジャケット (シアリング) ¥702,900

フェンディ

(ファッション全般)
■ ファー → ミンク、フォックス、アニマルファー使用  シアリング使用
■ エキゾチックレザー → クロコダイル、パイソン使用


ジャケット ホワイトナイロン/ミンク ジレ ¥ 2,640,000


フェンディ ファースト スモール レッドクロコダイルレザー  ¥ 3,113,000

ルイヴィトン

(ファッション全般)
■ ファー ミンク、フォックス、アニマルファー使用 シアリング使用、一方フェイクファー製品も
■ エキゾチックレザー → クロコダイル、パイソン使用


モノグラムインタルシアミンクファージレ ¥1,666,500


カプシーヌBB クロコダイル N96522 ¥3,718,000

ロロピアーナ

(ファッション全般)
■ ファー → ミンク、フォックスファー、チンチラ、アニマルファー使用 シアリング使用
■ エキゾチックレザー → クロコダイル使用 (品数は少ない)


コーラー・ベスト ミンク – ストームシステム® ¥2,236,300


エクストラ・ポケット・ポーチ L 19 クロコダイル ¥1,527,900

セリーヌ

(ファッション全般)
■ ファー → 使用なし シアリング使用
■ エキゾチックレザー → クロコダイル、パイソン、使用


ティーン トリオンフバッグ クロコダイル ¥3,520,000

ケンゾー

(ファッション全般)
■ ファー → 使用なし
■ エキゾチックレザー → 使用なし

マークジェイコブス

(ファッション全般)
■ ファー → 使用なし
■ エキゾチックレザー → 使用なし

クリスチャンディオール

(ファッション全般)
■ ファー → ファーほぼ使用なし (メンズのアウターの襟に使われているものあり)シアリング使用
■ エキゾチックレザー → 使用なし
※WEB上での掲載はありませんが ファー・エキゾチックレザーともに製品は作られております

パトゥ

(ファッション全般)
■ ファー → 使用なし
■ エキゾチックレザー → 使用なし

エミリオプッチ

■ ファー → 使用なし
■ エキゾチックレザー → 使用なし

ジバンシー

(ファッション全般)
■ ファー → 使用なし シアリング使用
■ エキゾチックレザー → アリゲーター、パイソン使用

ベルルッティ

(メンズファッション)
■ ファー → ファー使用なし シアリング使用
■ エキゾチックレザー → アリゲーター使用

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kering グループ

グループ全体で2022AWよりファーの不使用を宣言しています

グッチ

(ファッション全般)
2017年 ファーフリー宣言済
■ ファー → ファー使用なし
■ エキゾチックレザー → クロコダイル、パイソン使用


グッチ ダイアナ スモール クロコダイル ¥4,070,000

サンローラン

(ファッション全般)
■ ファー → ファー使用なし シアリング使用
■ エキゾチックレザー → パイソン使用


LE 5 À 7 ホーボー ショルダーバッグ パイソン ¥ 376,200

ボッテガ・ヴェネタ

(ファッション全般)
■ ファー → ファー使用なし シアリング使用
■ エキゾチックレザー → パイソン使用


シアリング パドル アンクルブーツ ¥121,000

バレンシアガ

(ファッション全般)
■ ファー → ファー使用なし
■ エキゾチックレザー → 使用なし


菌糸繊維製のマキシコート ¥ 1,439,900 (税込)

※菌糸繊維 キノコのような菌類の体を構成する糸状の集合体。レザーに似た新たに開発された素材。

アレキサンダー・マックイーン

(ファッション全般)
■ ファー → ファー使用なし
■ エキゾチックレザー → 使用なし

ブリオーニ

(メンズファッション)
■ ファー → ファー使用なし
■ エキゾチックレザー → 使用なし

日本人の毛皮に対する意識

日本においては着ていて見知らぬ人に怒られたり、反対運動家に卵を投げられるような過激なことに遭遇しないとは思いますがSNSで著名人がファーのアイテムを着ている写真をシェアすることは好感度を落とすことになりかねないようなご時世になっています。

欧米に比べて日本のファーフリーの意識が低いかといえばそのようなことはなくヨーロッパ並みにファッションに動物の犠牲は必要ないと考えているようです。日本の調査では81.6%が毛皮のために動物を飼育し殺すことに反対だと答えていてその比較する数値はイタリア92%、スペイン76%、オーストリア83%、ドイツ84%、カナダ81%、アメリカ71%となっています。

個人的に驚いたことは、若年層でその意識が高いのかと思えば男女とも高齢層にその意識が強く若年層では男性の10代、20代はその意識が低いのに比べ女性は高く男女で意識の差があることがわかっています。
それは関心のなさではなく、自身が将来的に購入するかどうかというアンケートで全体の82.8%が購入しないの回答に対して若年層男子は60%台という結果を示しています。
参考:2022年6月国内毛皮に対する意識調査(アニマルライツセンター)

そろそろクローゼットのファーを見直しませんか

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