暖かいニットを着たい。でもチクチクが心配

2年前に買ったウールのローゲージニット 先日今年初めて着ました。まだ少し早すぎる気温でしたがざっくり編んであるのでいいかな?と思い半袖のインナーで着用してしまいました。なんだか手首がチクチクすると思っていると午後になると赤くなっている。しっかりカバーするインナーを着るべきだったと後悔しましたが、あれ?去年はこんなことにならなかったはず。・・・もしかしたら今年からダメになったのかも。これまで良かったのにダメになってしまうこと。あるのです。いろいろな理由で体質が変わること。
ニット好きとしては一大事!チクチクで困っているかたも多い時期 どうしたらいいか考えてみました。

ニットのチクチク原因はウール?

ネットを検索してみると 素材ではウールがチクチクするという意見が多く、カシミヤに変えてみては?とアドバイスや購入後のお品物なら柔軟剤で柔らかくする。とか 肌を保湿する。肌に触れないようにインナーをタートルネックやブラウスにする。のご意見がたくさん見られました。

なぜウールがチクチクする?

 ウールの毛は硬くて太いから

調べてみるとウールは確かに太い

コットンで直径12マイクロメートル(以後μ)~28μに対して

ウールは18μ~50μ(衣料品として使うウールはは30μくらいまで)

●天然繊維
コットン 12~28μ
ウール 18~50μ
シルク 15~50μ
麻 8~50μ

●化学繊維
ナイロン 1~10μ
ポリエステル 1~10μ
アクリル 1~10μ

天然繊維は化学繊維に比べて圧倒的に太い

いまさらながら このミクロンという数値がどれくらいかというと 1000μ=1ミリ

日本人の髪の毛で80μくらいなので それに比べたら コットンも、シルクもかなり細い。

いやいや 化学繊維はめちゃめちゃ細い。ちなみに蜘蛛の糸は5μ。化学繊維のすごさがわかります。

う~ん。細ければチクチクしないのか?

美容院でカットしてもらった毛が首に残っていたりするとチクチクするし食べ物に髪の毛が混入していたら見た目にもわかるけど、アクリルなどの化学繊維の毛抜けは床に落ちていてわかりにくい。この細さなら肌に触れても存在が気になることはないかもしれない。

ニットチクチク解決策

ウールはやめて化学繊維のニットにしよう!

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でも防寒のことを考えると動物繊維のニットが着たい。

確かに動物繊維は暖かいですよね。

ちなみにウール(ウール=羊の毛)を採取する羊には3000種ほどもあって衣料品で使われるものは主にメリノ種です。

(トレッキングブランドや大手量販ブランドでこの製品はメリノウールです。どやっ!と書いてあるあれです。)

メリノ種とは

幅広いウールの中で良質と言われているメリノ種です。特徴は白くてつややかで染色しやすい毛を持ち豊富な毛量。衣料品を生産する目的で交配されたものです。私たちが身につける衣料品ではほとんどがメリノ種と思ってもいいのです。

帽子、バッグ、毛布、絨毯、建材としての断熱用に・・・ウールにはたくさんの用途がありますのでウール全体の中ではメリノ種は柔らかくて毛が細い → 良質 → 衣料品用

意地悪な言い方をすると どやっと書くまでもないということ。

お店で 「実はこのセーター!ウールの中で最高級とされているメリノ種を使っているんです!」と説明を受けても、もちろんウールの中では良質ですが、衣料品でメリノ種を使うことはほぼ当たり前なのです。

メリノ種の原産地はスペインのイベリア半島と言われています。スペイン国王がさまざまな国に雌雄でプレゼントして現在は、オーストラリアが一大産地で、ニュージーランド、フランスが主要産地になっています。

メリノ種の毛の直径は17μ~25μ

メリノ種の中でもその細さでランク付けされており、スーパーエクストラファインメリノと呼ばれる16μ~17μの細い毛が最高品質とされています。

ストロングメリノ     23~25μ
ミドルメリノ       20~22μ
ファインメリノ       20~21μ
エクストラファインメリノ      18.5~19.5μ
スーパーエクストラファインメリノ 17.5~16.5μ

そのスートラファーメリ(長すぎるので勝手に短縮してみた)は細いだけではなく柔らかさや捲縮性(らせん状の縮れ)もあると書いてありました。

メリノ種の分別

ニットチクチク解決策

ウールを着るならスーパーエクストラファインメリノを選ぼう!

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残念なことに 衣料品の素材にはウールと記載されているだけで稀にメリノウールと書いてある場合もあるけれど、どのランクなのかの情報は記載されていないことのほうが多い

それではどうやって見分けたらいいのでしょう?店頭で手に取ることができる場合は手触りを見る方法がありますが、ネットで購入する場合はかないません。

そもそもミクロン単位の太さの違いを手で感じられるか?という疑問ですが1本の違いは無理ですがセーターになった時の全体の手触りでなんとなくはわかっていただけると思います。

ウールの最高ランクだから お高いのよね~

触れない時の良質ウールの見分け方

高いものを選ぼう!

ランクが書いていないならお値段で判別する。← ダメです。

確かに良い品質のものは高いのです。間違っていない部分もありますが、どのグレードでどれくらいのお値段が妥当なのかはウール買い付け商社の人にならないとわからないかもしれません。高ければチクチクしないかは確率は上がると思いますが確実ではありません。

ちなみにワークマンでも スーパーエクストラファインメリノ 売ってます。



出典:WORKMAN https://www.workman.co.jp/

ウールの最高級とご案内したスーパーエクストラファインメリノが1900円です。

ワークマンすごい!

細さで区分けしたスーパーエクストラファインメリノの中でも 色、長さ、弾力、クリンプの具合・・・他の要素も加味されて品質が決まります。優劣の幅は大きく、高品質なものほど入札で高額になり大手生地メーカーが落札していくそう。

更に
ワイン界でのスーパートスカーナのような規格外のメリノウールもあるのです。
その細さわずかに11μ これがウールの中の最高といえるでしょう。
独占的にロロピアーナが買い占めています。
というかこちらはニュージーランド、オーストラリアの現地牧場とロロピアーナの共同プロジェクトによって生まれたものなのです。
気候や餌、羊の体調管理など研究を重ねてできたもの。噂によれば毛が痛まないように羊にレインコートを着せたりもしているとか・・・(噂です)ロロピアーナの登録商標で THE GIFT OF KINGS という名前が付けられています。
ロロピアーナが自然から作り出した素材。世界のトップメーカーたる素材への並々ならぬ努力と執念には感服します。

↓ 製品になったものがこちらです

出典:loropiana https://jp.loropiana.com/ja/
ロロピアーナ ザ・ギフト・オブ・キングス・ラウンドネック ¥330,000
きっと素肌に着てもチクチクすることはないかと思います。お使いになられていらっしゃるかたの感想をうかがってみたいです

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素材のウールから糸になるまでの基本的な部分で 梳毛(そもう)と 紡毛(ぼうもう)があります。
梳毛は櫛でとかして(まさにとかす。コーミングと呼ばれます)梳かしてきれいに毛をそろえるイメージです。糸に均一性を出しているので毛の向きが揃っていて光沢があり細い糸ができます。サマーウールやメンズのスーツ、ハイゲージのニットなどはこの方法です。原料のウールもできるだけ長いものを使います。
紡毛はコーミングしていない状態で糸にするので、ふんわりして太めの糸に仕上がります。また圧縮してフェルトのような状態で使ったり、カーペットなどで使います。

紡毛でつくられた太い糸のニットは短い毛を集めて糸にしていることが多く、毛の向きも揃っていないのでチクチクしやすくなります。

チクチク解決策

ローゲージでなくハイゲージのものを

ロロピアーナの最高ウールを知ってしまった後に出しにくくなってしまいましたがネットでチクチクを避けたいならカシミヤを選んでみては?というアドバイスがありました。カシミヤは14μ~15μ。確かにウールより細い

チクチク解決策

ウールでチクチクするならカシミヤを!


MAX MARA ピュア カシミヤ ニット ¥88,000

カシミヤでも更に細いものがあります。ベビーカシミヤこちらなら13μ
これなら敏感なかたでもクリアできそうです。

ベビーカシミヤとは

生後6ヶ月~12ヶ月の子供のカシミヤのうぶ毛のこと。
夏場でも20度の平均気温で最低気温がー15度という極寒の内モンゴルで育つカシミヤヤギの子供。
毛が抜け替わる7月にやさしく漉いて毛を採取する。
↑子供の髪をとかすようにやさしくやさしく採取しているはずです

1頭から採れる毛の量は 羊で5㎏~10㎏ に対して カシミヤは150g~300g ベビーカシミヤは30g

チクチク解決策

カシミヤでチクチクするならベビーカシミヤを!

素材にこだわった国産ブランドAURALLEのベビーカシミヤです


BABY CASHMERE KNIT P/O ¥ 62,700

ベビーカシミヤでもチクチクするということなら・・・あのロロピアーナのTHE GIFT OF KINGSビキューナ・・・になりますが少々お値段的に!!!びっくりですし、柔らかく細い素材ゆえとてもデリケートです。


ロロピアーナ ビキューナ 20・ラウンドネック・セーター ¥682,000

チクチクは嫌だけどそれでもニットが着たい!ということなら 動物性の繊維はあきらめて天然繊維もしくは化学繊維との混合をお試しください。

おすすめするベストな組み合わせとしては カシミヤとシルク の混合です


FOXEY 43184 CARDIGAN “HOODIE FUN” ¥99,000

こちらはカシミヤ70%・シルク30% この組み合わせは想像するだけでやわらかそうです。


ブルネロクチネリ カシミヤ&シルク ライトウェイト セーター ¥140,800

こちらもカシミヤ70%・シルク30% です。

チクチク解決策

動物繊維にシルクを混ぜてみる!

よかったら参考にしてみてください。

あなたの“知らない(かもしれない)”ウールのこと。


こちらも併せてどうぞ。

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