ジュエリーやブランドバッグは相続税がかかる!?注意点をわかりやすく解説

高額なジュエリーやエルメスのバーキン、ケリーといった高級ブランドバッグは資産としての価値も高く、母から娘へ、さらにその次の世代へ……と受け継いでいくという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですがそのジュエリーやバッグは、もしもの時には相続税がかかる可能性があるかもしれません。

・ジュエリーやブランドバッグを相続するかもしれない(親御さんなどが保有している)方
・ご自身がジュエリーやブランドバッグを持っている方

など、心当たりのある方はぜひこの記事を読んで注意すべき点を確認してくださいね。

相続税がかかるかチェック!基礎控除とは

相続税と聞くと「たいそうなお金持ちの方だけが払うものでしょ……」なんてイメージの方もいらっしゃるかと思いますが、財産なんてないと思っていたのに、土地と家を相続すると相続税を払うことになってしまった!というケースもよくあり、意外と身近な税金でもあります。

相続財産には土地や建物(住んでいる家)、株式や債券・自動車・価値ある動産の絵画・貴金属、ブランドバッグなど故人が保有していた全ての財産が含まれ遺産として計算されます。

その遺産から基礎控除を引いた金額が課税対象となります。

この基礎控除の額は以下の数式に当てはめて計算していきます。

3000万円+(法定相続人の数×600万円)

仮に法定相続人が3人とすると基礎控除額は4800万円なので、遺産の総額が4800万円を超えなければ相続税は発生しません。

遺産の総額が基礎控除の額を超えると、その分が課税対象となります。
例)
遺産の総額8000万円 ー 基礎控除4800万円 = 課税遺産総額3200万円

高級ジュエリーやブランドバッグを多数保有している方は他の不動産、金融資産も多くお持ちでしょうから、基礎控除の額を超え相続税がかかる場合もあるかと思われます。

また、エルメスのバーキンは素材によって100万~1000万円(希少とされるクロコダイルのヒマラヤでは2000万円を超えることも!)と価格にかなり開きがあります。
「高級と言っても100万円くらいだろう」と思っていたらまさかの超高額バッグで、相続税の課税対象となるケースもあります。一度大体の値段を確認しておくと焦らずにすみますよ。

詳しくは国税庁WEBサイトへ

ジュエリーやバッグの評価額はどうやって調べる?

「そんなに高価なバッグなら自分が相続したかった!」などと相続人同士で揉めないためにも、ジュエリーやバッグはどのくらいの価値か鑑定に出すことをおすすめします。
ジュエリーやバッグの評価額は購入時の金額ではなく、専門家が判断する現在の取引額を参考に評価します。
つまり200万円で買ったバッグに現在の評価が100万円となることもあれば、プレミアが付いて500万円の評価額となった、ということもありえます。
特にバーキンのような希少価値の高いバッグはかなり古いものでも高値になることもあり、詳しくない人には評価額の予想は難しいです。プロの鑑定士に鑑定料を払い、評価してもらうのが一番確実な方法となります。

相続税がかかる!相続税対策って?

計算してみたところ、どうやら相続税がかかりそう……という方は下記の速算表で税率を確認してください。


引用:https://souzoku-sodan.co.jp/

例)遺産の総額が2億円として法定相続人が子供3人とすると

2億円ー基礎控除4800万円=1億5200万円 これを3人で按分するとひとり当たりの額は約5066万円

これを上記の速算表にあてはめると5000万円以上の税率30%で控除額が700万円になりますので

5066万円×30%-700万円=699万円 699万円がひとり当たりの相続税額になります。

相続財産の金額に比例して税率も高くなっていきます。なかなかの金額を納税することになりそうですよね。「遺産をもらうだけなのに何でそこから税金が取られるの?何とかならないの?」なんて声が聞こえてきそうです。そこで、相続税対策です。

相続税対策とは?

生前から準備することで相続税を大幅に節税することが可能です。いくつか方法をご説明いたします。

よく利用される相続税対策

①暦年贈与

暦年贈与とは、年間110万円までであれば贈与を受けても非課税になるという制度のことです。
元気な(本人に意志能力がある)内にあらかじめ贈与しておくことで財産を減らしておき、相続時に相続人へ負担がかからないようにすることができます。

例えば総資産1億円の方が、4人に10年間暦年贈与をしたとします。
そうすると110万円×10年×4人=4400万円
課税対象となる財産は1億円-4400万円=5600万円
何も対策を講じていなければ1億円が遺産額として計算されますのでこの差は歴然です。 (あくまでも単純計算ですが)
暦年贈与は割とポピュラーな相続対策ですが、毎年同じ時期に110万円(同じ金額)を渡していると税務署から定期贈与とみなされ贈与税が課されることがあります。
遺された方達に相続税で負担をかけないよう暦年贈与をしているのに、贈与税を払うのであれば本末転倒ですよね。
定期贈与だと税務署から判断されないように、贈与する日にちや金額を毎年変える、贈与するたびに契約書を作るといった対策をしておくと安心です。

②生命保険を活用する

現金などの資産は相続財産として課税対象となりますが、生命保険による死亡保険金は相続人自身が受け取るものであるため、相続税が課されることはありません。
また、生命保険金には法定相続人1人につき500万円の非課税枠が認められており、こちらを利用することで節税対策を行います。

例えば法定相続人が4人いる場合、500万円×4人=2000万円までの生命保険金は非課税扱いとなります。

また、相続財産は相続手続き自体が完結するまでは相続人であっても自由に動かすことができません(厳密にはできますが手続きがとても複雑です)が、生命保険金は保険の手続きさえ終わればすぐに受け取ることができます。

遺された方が使いやすく、かつ相続対策もできる方法と言えます。

③孫などを養子にする(基礎控除額を増やす)

養子縁組をすることで相続税対策をする人も少なくありません。
「養子を取ることがどうして相続税対策?」と思いますよね。
冒頭にてご説明した基礎控除の計算式がありましたが、法定相続人の人数が増えるとその分基礎控除が増えます。
そのため、孫や子どもの配偶者を養子縁組しすることで基礎控除額を増やすのです。
この方法だと上記②で説明した生命保険を利用した相続税対策にも当然反映されるため、養子縁組制度を活用される方もいらっしゃいます。
なお、養子縁組をしたからといって婚姻関係・夫婦関係に特に影響はありません。

現金じゃないから税務署にはバレない?

さて、ここまで相続税対策についていくつかご紹介しましたが、「そこまでしなくても、ジュエリーやバッグくらい申告しなくても分からないんじゃない?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際のところどうなのでしょう。

デパートでの購入履歴を調べられるかも!

高額なジュエリーやバーキンのような高級バッグを多数保有していた場合、税務署は普段から出入りしていたデパートなどでの購入履歴をすでに入手している可能性があります。
購入していれば当然支払いが発生するわけで、購入履歴と通帳の明細を照らし合わせて証拠とすることも。またご近所への聞き込みや相続人への面談で上手に申告し忘れているものがないか情報を引き出していくとも聞きます。

持っていることを隠していたらどうなる?

税務署の調査によりジュエリーや宝石が見つかり、過少申告であると判断された場合は過少申告加算税と延滞税を支払わなけらばなりません。これらにより支払う税金は本来の相続税よりも10%上乗せされます。
さらに、より悪質(意図的に財産を少なく見せていた)と判断された場合は重加算税となり、隠蔽した税率の35%をさらに支払うこととなります。

とはいえ現実には税務署も忙しいので、一般家庭の相続においてバーキンの分を申告もれしていないか?などと調査して回るとは考えにくいですが、品物の金額が数百万~数千万円の場合は調査が入る場合もあります。見つかった際の重加算税のことを考えると、隠しておくのはリスクが高く得策ではありません。それならば相続対策を行なって課税対象となる財産を減らす方が遥かに安全と言えます。

まとめ

高級ジュエリーや高額なバッグは相続財産として課税対象となります。
ご自身がお持ちの場合はそれを頭に置いて、遺される側となるお子さんなどにも説明しておきましょう。
不動産や預貯金は書類や通帳を見れば把握できますが、ジュエリーやバッグはしまいこんでいると誰にも見つけられず、相続人が意図せず過少申告してしまった……なんてことにならないよう、リスト化しておくとわかりやすいですね。

遺す側も遺される側も安心できるよう、なるべく生前の内から話し合い対策をしておくことをおすすめいたします。

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