mame展PVCbag

10 Mame Kurogouchi「10のキーワード-長野」2つの融合

ブランド10周年を記念した展覧会「10 Mame Kurogouchi」。
マメのファーストコレクションから2020年秋冬コレクションまでのアーカイブを通じ、「10のキーワード」ともにデザイナー黒河内真衣子氏の創作の旅路を辿る。
4つ目のキーワード「長野」にフォーカスしてみる。

マメ展入口からノート

キーワード「長野」

ブランドを代表するアイコンとして初期から発表されているPVC素材のバッグと同素材のヘッドピース。雪景色や朝日を湛えて輝く氷柱といった、幼少期の記憶を氷に彫刻したかのようなピースと、降り積もる雪を思わせるルックが象徴するのは、原風景である長野の雄大な自然の中にあって、あくまで常に等身大の目線から生み出される、ブランドのものづくりの原点である。
– 10Mame Kurogouchiより

mame展長野
「長野」のキーワードで括られた展示は、ガラスケースに納められたPVC素材のバッグとヘッドピース(2011年春夏から2020年秋冬製作)と、壁面のコレクションルック3体だ。右から2011年のコレクションルック「面」、2020年秋冬コレクションルック「Embrace」、2014年秋冬コレクションルック「Parsonal Memory」の3枚のドレス。どれも柔らかな白色、自然に溶け込むような滑らかなドレープが美しい。
ここでは、主にマメとPVCバッグについてを掘り下げてみる。

日常的なものに美を見出す

Mame Kurogouchiといえば、このPVCのバッグ。「長野」と「PVCバッグ」に共通するのは、そう、マメクロゴウチ=デザイナー黒河内真衣子の原点だということ。
10年間、マメはシグニチャー・アイテムとしてこのバッグを作り続けてきたのだが、実は基になるものはブランドの立ち上げ以前に生み出されていたのだ。
あるとき、工具ストアで見かけた透明なビニールシート。何かを思いついた黒河内は、これを自らカッターで切る、曲げる、糸で留める。何度も何度も挑戦し、そうして作り上げたのが原点のバッグだった。

黒河内真衣子が長野の豊かな自然のなかで過ごした幼少期、生活は季節の移り変わりと同調していた。
そこで育まれたのが「日常的なものに美を見出す」こころ。そして彼女には、それをカタチにする、表現する才能があったのだろう。
草木にできた氷柱
思い描いたのは故郷での冬。光が透過する氷・氷柱(つらら)、そこから作り出される輝くプリズム。
幼少時代に魅了された氷やガラスのようなもの、美しく繊細で透明なものを表現したいと考えたという。

彼女の「記憶の中の美しいもの」と、現在「作り出すことができるもの」。
当たり前のようにありふれた素材と、そこに施された彫刻のようなデティール。
黒河内氏のノスタルジアと、この透明なバッグに収まる人々の日常。
多方面から様々な2つの要素が融合された、「日常的なものに美を見出す」という黒河内真衣子の創作に対する理念の現れ。

そうだ。私自身も、魅せられて手に取ったマメのファーストアイテムはアイコンのクラッチバッグだった。
マメクロゴウチのPVCバッグ
「10 Mame Kurogouchi – 10のキーワード」
・ノート – 〈Mame Kurogouchiの10年を長野で辿る〉
・曲線 – 〈10 Mame Kurogouchi「10のキーワード-曲線」と写真家 野田祐一郎〉
・刺繍 – 〈10 Mame Kurogouchi「10のキーワード-刺繍」記憶の中の再現〉
・長野 – 〈10 Mame Kurogouchi「10のキーワード-長野」2つの融合〉
・色
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